Material Reserch #001
BAMBOO Project,
Kagoshima
10.01.2022No. 2
竹は国内だけでも600種類以上あると言われている。向こうに見える山を眺めながら柚木さんが言う。「あれはみんな孟宗(もうそう)竹。葉っぱを見ればすぐわかります」。私たちにはどれも同じにように見える竹の葉も、柚木さんが見ればそれがどんな種類の竹かひと目でわかる。


竹細工に使用される竹は主に、真竹(マダケ)、孟宗竹(モウソウチク)、淡竹(ハチク)など、ほんの一部の種類で、さらにその中で柚木さんが使うのは、肉厚が薄くて軽く作業性がいい、真竹。鹿児島ではそのルーツが唐の国にあることから唐竹(カラダケ)とも呼ぶ。
柚木さんは、自ら山に入り、作る製品に応じた竹を見定め、伐採して持ち帰る。持ち帰った竹は青く、その青さをいかして作る製品と、青竹を半月ほど天日干ししたあとに庭にある窯で炊いて油抜きをして白くした白竹を使って作る製品とがある。青竹にしても白竹にしても、まずは1本1本「ひご」にして、製品を編み上げる。普通は、山に入って竹を選んで伐採する人、油抜きなどの製竹をする人、加工・細工をする人というふうに分業性。柚木さんのように竹の伐採から編み上げるまでの全工程を自分で行う人は稀有だ。
「好きでなければできないと思うね」
柚木さんは、自ら山に入り、作る製品に応じた竹を見定め、伐採して持ち帰る。持ち帰った竹は青く、その青さをいかして作る製品と、青竹を半月ほど天日干ししたあとに庭にある窯で炊いて油抜きをして白くした白竹を使って作る製品とがある。青竹にしても白竹にしても、まずは1本1本「ひご」にして、製品を編み上げる。普通は、山に入って竹を選んで伐採する人、油抜きなどの製竹をする人、加工・細工をする人というふうに分業性。柚木さんのように竹の伐採から編み上げるまでの全工程を自分で行う人は稀有だ。
「好きでなければできないと思うね」



竹ひごと聞くと子供の頃の工作の記憶がよみがえるが、竹細工にとっては生命線と言えるほど、ひごの精度が重要となる。「これを曖昧にしてしまうと良い製品はできないんです。お客さんに喜んでもらうために、ひご取りをとにかく丁寧にやるんです」。工房で、一定の長さに切られて半円状に割られた竹が積み上がっている中から、柚木さんが1本を手にして、年季の入った鉈を半円状の真ん中に当てる。縦方向に走る竹の繊維に沿って鉈をサッと入れ、パカッと縦に半分になった竹に鉈を当て、サッサッサッ。さらに半分になった竹に鉈を当て、またサッサッサッ。これを繰り返す。ときどき、節をスッと落とす。竹は難なくみるみる繊細になっていく。
「竹の太さや長さ、節間で何が何個分できるかがわかるので、無駄なひごまで割らずにすむんです」
繊細に割られた竹の、今度は厚みと並行に鉈を入れて、
皮と身に分ける。この「へぎ」という工程を経てできた皮側の幅を揃え、角の面取りをして、裏面のささくれを梳く作業を経て、まったく曖昧でないひごができあがる。
![]()
「竹の太さや長さ、節間で何が何個分できるかがわかるので、無駄なひごまで割らずにすむんです」
繊細に割られた竹の、今度は厚みと並行に鉈を入れて、
皮と身に分ける。この「へぎ」という工程を経てできた皮側の幅を揃え、角の面取りをして、裏面のささくれを梳く作業を経て、まったく曖昧でないひごができあがる。
